お茶にも品種があることをご存知でしょうか。お米で言うコシヒカリのようにお茶の木にも品種名がついています。その中でも日本でも最も栽培されていて、有名な品種は「やぶきた」でしょう。お茶をよく飲む方であれば、どこかで聞いたことがあるかもしれません。日本国内にもたくさんある茶産地の中、ほとんどの地域でやぶきたが栽培されています。静岡や鹿児島はもちろん京都でもたくさん栽培されており、当園の茶園でも栽培面積はやぶきたを最も多く栽培しています。こういったやぶきたの栽培シェアを広げた背景には歴史的な理由が散りばめられていました。
驚異的なシェア70%率以上!?
お茶の品種は120種類以上登録されていますが、その中でやぶきたの栽培比率は日本全国の茶畑の70%以上とも言われています。やぶきたの栽培が広まる前は、実生(みしょう)と言う種から育てた在来種の栽培が多く、一般的でした。種から栽培したものは同じ茶畑をとっても統一性がなく、新芽の出るタイミングがバラバラだったり、耐寒性などにもバラ付きがありました。やぶきたが品種登録され、国が栽培を推奨する品種へとなったことで挿木での栽培が拡大していきました。
頂点にして原点やぶきたのルーツ
やぶきたのルーツは静岡県にあります。ある茶農家により選抜された非常に優秀な品種です。名前の由来は竹藪の北に植えたものを「やぶきた」南に植えたものに「やぶみなみ」として登録されていました。
現在のやぶきた
現在もたくさんの品種が開発されておりますが、やぶきたに匹敵するほどの広がりを見せる品種はありません。現在のやぶきたは変わらず優秀な品種であるという評価は変わりませんが、当時に比べると、品種の種類は年々増えています。その中で品種の説明には必ずやぶきたと比較することで特徴を表します。例えるなら、「新品種は萌芽時期がやぶきたより3日早い」といった内容や、「やぶきたより耐寒性が強い」といったように使用されています。現在では新品種の栽培を推奨されることもあり、新たな品種を取り入れる「品種化」という動きが各茶産地でも見ることができます。やぶきたは新品種に対する指標となることで、私たち茶農家は新品種と比較し検討しています。
味や特徴は?
気になる特徴ですが、やはりここでも他の品種と比較する指標となるようなポジションです。そのため、クセがなく誰でも違和感なく飲むことができるお茶です。
これからのやぶきたとダイバーシティ
先述した通り、品種化が各茶産地で進行していくことで茶産地としての特徴が強く出ていくようになると思われます。さらにその中でも各茶農家がさまざまな経営スタイルを選択することで、栽培される品種も多様化していくことになると思われます。すぐに70%という大きな数字がひっくり返ることはありませんが、今後少しづつシェアを落としていき、選択肢が増える未来が来ることになると思われます。